Anthropology: Evidence for the earliest human occupation of the Faroe Islands
人類がフェロー諸島に定住したのは西暦500年ごろと考えられ、これまで考えられていたよりも約300年早かったことを示唆する論文が、Communications Earth & Environment に掲載される。フェロー諸島での家畜の飼育は、ノルウェーのバイキングが上陸した頃に行われていたとする報告があるが、今回の研究では、それよりも前に行われていたことが示された。
西暦800~900年にバイキングがフェロー諸島に上陸したことは、人類がフェロー諸島に定住したことを示す最古の直接的証拠となっている。しかし、それよりも前に定住者(おそらくブリテン諸島からやって来たケルト人)がおり、バイキングより前にすでに上陸していたことが示唆されている。しかし、それを裏付ける証拠は、ほとんどなかった。
今回、Lorelei Curtinたちは、フェロー湖の湖底の1500年前の堆積層に堆積したDNAを調べた。その結果、西暦500年ごろのヒツジのDNAと糞便の痕跡が発見され、同じ頃にさまざまな草のDNAが増えて、木本植物のDNAが消失したことが判明した。これらはいずれも、放牧が行われていたことの徴候とされる。今回の知見は、バイキングより前に定住した人類が、島内で家畜を放牧していたことを示唆しており、フェロー諸島の初期の定住についての我々の理解を変えるものになるかもしれない。
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「人類学:フェロー諸島に初めて定住した人類の証拠」