Cancer: Radiobiology in mice using a laser-driven proton source

 
安定した小型レーザープラズマ加速器で得られた陽子線を用いた、マウスの腫瘍への放射線照射を実証した論文がNature Physics に報告されている。今回の知見から、がんの放射線療法の改善を目的とした将来の研究に、この技術を使用できる可能性を示す証拠が得られた。

従来型加速器で得られる陽子ビームを用いた放射線療法は、さまざまな種類のがんに対する治療法として確立されている。最近の研究では、現行の臨床基準と比べて数桁高い線量率で照射すると、腫瘍周囲の健常組織に及ぼす影響が、現在推奨されている線量率より小さくなる可能性が示唆されており、これは「FLASH効果」と呼ばれている。レーザープラズマ加速器は、このFLASH効果を引き起こすと考えられる極めて高い線量率を得るのに有望な陽子線源である。

今回Florian Krollたちは、レーザープラズマ加速器から得られる極めて高いピーク線量率の陽子ビームを用いて、小型動物モデルの腫瘍への照射に適した研究プラットフォームを確立した。著者たちは、マウスの耳に培養したヒト腫瘍(頭頸部扁平上皮がん)の増殖を均一線量で遅らせる効果を含め、この加速器を放射線生物学に使用する準備が整っていることを実証している。用いられたサンプルサイズは、マウス92匹であった。

関連するNews & Viewsでは、Leonida GizziとMaria Grazia Andreassiが、「レーザープラズマ加速器は本質的に線量率が高いため、FLASH効果の根底にある機構の研究に役立つ可能性がある」と述べている。さらに彼らは、今回の結果は、トランスレーショナルリサーチにおける極めて線量率の高い陽子線のさらなる使用に向けた有望なステップであると付け加えている。

doi:10.1038/s41567-022-01520-3
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「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

 
※この記事は「Nature Japan 注目のハイライト」から転載しています。
転載元:「がん:レーザー駆動陽子線源を用いたマウスの放射線生物学
 

Nature Japan

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