明治大学の宮下芳明教授らの研究グループはキリンホールディングス株式会社と共同で、減塩食品の味わいを増強させる電気刺激波形と箸型デバイスを開発。このデバイスを使うと、減塩食に感じる塩味が1.5倍程度に増強されることを世界で初めて確認した。

 日本人の1日当たりの食塩摂取量は成人男性で10.9g、成人女性で9.3gと多い。厚生労働省による生活習慣病予防のための目標量の達成には、現状より20%以上低減させる必要がある。さらに、生活習慣病の重症化予防には1日6g未満の食塩摂取量が望ましいとされるが、減塩食は「味が薄い」と感じられ、減塩食継続の阻害要因となっていた。

 研究グループは今回、微弱な電流で塩味をコントロールし、減塩食の味わいを増強させる電気刺激波形を開発。この技術を搭載した箸型デバイスを作成して、実際に減塩食生活を行っている男女36名(40~65歳)を対象に、一般食品を模したサンプルと減塩食を模したサンプル(食塩30%低減)を試食した後、感じた塩味強度について評価する臨床試験を実施した。

 その結果、減塩食サンプルの場合、箸型デバイスにより塩味が1.5倍程度増強され、また、その塩味強度は、一般食品サンプルと同等だった。これにより、食塩を30%低減した食品の摂取時に本デバイスを用いると、通常食と同等の塩味を提供できた。また、減塩味噌汁を用いた実験でも、塩味の増強効果が確認され、コクやうま味、全体のおいしさの向上を感じたという意見が得られた。

 これにより、電気刺激を用いて塩味を増強する効果を、箸、スプーン、茶わんなどの日常的に用いる食器に活用することで、薄味の減塩食に対する味の満足度を高められる可能性があるとしている。

参考:【明治大学】~減塩食をよりおいしく、「健康」課題の解決に向けた大きな一歩~ 世界初※1!電気刺激の活用で 塩味が約1.5倍に増強される効果を確認 —「味を調整できる食器」の開発につながる新技術—

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