日本の研究チーム(茨城大学、国立極地研究所、千葉大学、国立博物館など22機関32名)が、地質時代名(国際標準模式地:GSSP)として提案していた「千葉セクション」が、国際地質科学連合(IUGS)での投票で候補に選出された。これを受け、茨城大学理学部・岡田誠教授らが11月14日に文部科学省で記者会見を開き、報告した。
岡田教授は「まずはほっとしている。しかし、就職面接でいえば、次の課長面接に進む一人が決まったという段階。これから課長面接、部長面接、社長面接と続く。作業部会で選ばれたあとに無効になった例も過去にはある。引き続き『千葉時代』の決定へ向けてベストを尽くしたい」と語った。
地質学では、地球上の岩石が形成された年代や生物化石等の変遷に基づき、地球の歴史を115の時代に分類。地質時代区分の標準化のため、各地質時代境界について地球上で観察・研究をする上で優れた地層1カ所をGSSPと認定する。GSSPは現在、世界に68カ所あるが、日本にはまだない。
更新世の前期と中期の境界は、これまでで最後の地球の磁場逆転が起きた時期で、GSSPが未決定の境界のひとつ。房総半島の中央部、千葉県市原市の地層「千葉セクション」のほかに、イタリア南部の2カ所の地層もそれぞれ申請していた。
研究グループは、認定に向けたさまざまな活動を展開。日本人研究者の過去の論文を国際学術誌に発表し、千葉セクションの火山灰層から地磁気逆転の年代を高精度で決定するなど、千葉セクションが世界の気候変動の研究に非常に適した場所であることを明らかにした。
IUGSの作業部会は、10月から11月にかけて、地質時代の「前期‐中期更新世境界」のGSSPの候補を選ぶ投票を実施。その結果、イタリアを抑え「千葉セクション」が選出された。IUGS内の上部委員会に答申され、各委員会で審議・投票が行われる。各審査段階の投票の時期などは通知されないという。
GSSPとなった場合、地質時代の中期更新世(約77万年前~約12万6千年前)が、「千葉の時代」を意味する「チバニアン(Chibanian)」と名付けられる。なお、IUGSの投票は早くても来年以降の見込み。