日本大学は理事会を開き、新理事長に内定していた芸術学部出身で作家の林真理子理事(68)を正式に承認した。任期は4年。田中英寿元理事長の脱税事件や付属病院をめぐる元理事らの背任事件で混乱を続けた大学を再建できるのか、注目を集めている。
日本大学によると、林新理事長は理事長選考委員会から推薦を受けて6月の理事会で新理事長候補者に決定した。作家としての活動だけでなく、文学賞選考委員、文芸団体の運営、イベント企画など多様な活動に実績を上げ、日本大学の再生に高い志を表明していることが推薦理由に挙げられている。
同時に脱税事件で辞任した田中元理事長に代わって理事長を兼務していた加藤直人前学長ら理事28人が総辞職し、林新理事長以外に21人の新しい理事が選任された。21人の理事のうち、8人が女性。林新理事長を含めて9人の女性理事が大学で初めて誕生するなど田中元理事長時代の空気を一新する新体制が生まれた。
林新理事長は山梨県出身。日本大学芸術学部を卒業後、広告プロダクションでコピーライターとして活動したあと、作家に転身した。「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、「文学少女」などで柴田錬三郎賞を受賞し、直木賞選考委員や日本文芸家協会理事長を務めている。
林新理事長はホームページ上のメッセージで「たび重なる不祥事で失墜した大学の信頼を回復するのが急務。学生ファーストの実現にも力を尽くす」としている。