74歳以上の高齢ドライバーの運転免許更新に認知機能検査が義務化され、認知症と診断されると免許の取り消しや停止が可能になったことで、高齢ドライバーの事故が減少していることが、筑波大学医学医療系の市川政雄教授らの調査で分かった。しかし、自転車運転中や歩行中の事故は増加している。
筑波大学によると、市川教授らは2012年7月から2019年12月までに全国で発生し、警察に報告された交通事故データを交通事故総合分析センターから入手し、2017年3月の認知機能検査運用変更後に75~79歳、80~84歳、85歳以上の各年齢層でドライバーとしての事故発生率がどう変化したのかを調べた。
その結果、事故発生率はどの年齢層でも男性で低下し、女性で統計学的に有意な変化が見えなかった。逆に、自転車運転中や不幸中の外傷率は特に女性で増えていた。市川教授らが推計したところ、75歳以上の高齢ドライバーの事故数は2017年3月から2019年12月までの間、3,670件減少したが、自転車運転中や歩行中の外傷は959件増えていることが明らかになった。
高齢化社会の進行とともに、75歳以上の高齢ドライバーによる交通事故が世間の注目を集めるようになったことから、高齢ドライバーの免許更新時の認知機能検査が2009年に導入された。
さらに、2017年3月には検査で認知症の恐れがあると判定された場合は免許更新前に専門医の診断を受けることが必要になり、そこで認知症と診断されると免許の取り消しや停止が可能になった。