東洋大学総合情報学部の湯舟英一教授と株式会社第一興商は、「洋楽カラオケ歌唱による英語発音向上に関する調査」を実施。カラオケ歌唱によって英語発音が向上することが確認された。
第一興商は、湯舟教授らと英語発音表記システム「Nipponglish(ニッポングリッシュ)」を共同開発し、2017年10月から洋楽カラオケのサービスとして取り入れている。「Nipponglish」は、英語音声学理論に基づき、英語曲のテロップ歌詞にオリジナルの歌声を聞こえるままにカタカナルビとして付したもの。前後の単語がつながって発音が変わるリンキングや強勢アクセントをカナの大小で表現するなど、視覚的にネイティブライクな発音を補助する。
今回、湯舟教授らは、英語教育の課題である「スピーキング」スキルを向上させる学習方法を確立し、各教育機関に英語曲の歌唱推進を推奨すべく、カラオケ歌唱による英語発音向上に関する調査を実施。東洋大学の学生74名と第一興商に勤務する社会人49名の合計123名を対象に、「Nipponglish」の英語発音向上効果について音読と歌唱による検証した。
英語の音変化を含んだ英語テキストのみのファイルと、同様の英語テキストにNipponglishのカタカナを付与したファイルをそれぞれ音読して録音した音声データを、TESOL(英語を母国語としない人に英語を教える教授方法)資格保持者が比較評価。その結果、被験者の83%が、Nipponglishのカタカナ表記が付与されているとネイティブのような発音になることが分かった。
また、通常の洋楽カラオケとNipponglishのカタカナ表記を付与したカラオケで歌唱練習をし、英語発音の向上が見られるかを検証。TESOL資格保持者と日本人英語音声学者による数値評価を行い、練習前と練習後の評価点を比較。その結果、被験者の87%が、洋楽カラオケを5回歌唱することにより英語発音評価が向上。Nipponglishのカタカナ表記により歌唱した方が、ネイティブのような発音になることが分かった。
今回の調査結果から、湯舟教授らの研究チームは、Nipponglishの洋楽カラオケは、英語を発音することが不得手、あるいは英語学習が苦手な人たちにとって最高の英語発音教材になるとし、今後、英語教育におけるカラオケ活用を推奨していく。
東洋大学は、2014年度に文部科学省のスーパーグローバル大学支援事業に採択され、日本の国際化を牽引する大学として、全学的にTGL(Toyo Global Leader)プログラムを実施している。その中には、総合情報学部の1、2年生の英語必須科目で、Web上でTOEIC対策の学習に取り組める「課外英語資格試験対策 オンライン講座(eラーニング)」などがある。