文部科学省科学技術・学術政策研究所が全国イノベーション調査で2019年から3年間にイノベーション活動を実行した企業と大学院修了者(博士課程又は修士課程修了者)の関係を調べたところ、イノベーション活動を実行していない企業より従業員に大学院修了者を雇用している割合が高いことが分かった。
文科省科学技術・学術政策研究所によると、調査対象となった448,348社の従業員採用状況を分析したところ、18%の企業で少なくとも1人以上の大学院修了者が雇用されていた。多くの企業では大学院修了者が1人も雇用されていなかった状況が窺える。一方、イノベーション活動を実行した約23万社のうち21%の企業が1人以上の大学院修了者を採用しており、イノベーション活動を実行していない約22万社の14%を大きく上回っていた。
また、調査対象の全企業において従業者に占める博士号保持者(博士課程修了者又はいわゆる論文博士)の割合を調べたところ、博士号取得者を少なくとも1人以上採用している企業は全企業の2%にとどまっているが、イノベーション活動を実行した企業は3%、イノベーション活動を実行していない企業は1%で、数字に開きが出ている。
大学院修了者や博士号取得者を受け入れる企業が少ないことが問題になっているが、文科省科学技術・学術政策研究所はイノベーション活動を実行した企業ほどより多くの大学院修了者や博士号取得者を雇用する傾向があるとしている。
なお、全イノベーション活動実行企業のうち、イノベーション活動のために大学・他の高等教育機関と協力した企業は3%で、前回調査から割合は変化していない。企業規模が大きくなるほど協力した企業の割合が多く、大規模企業では19%の企業が大学・他の高等教育機関と協力していた。一方、小規模企業では2%、中規模企業での割合は5%だった。製造業では9%の企業が大学・他の高等教育機関と協力していた一方、サービス業での割合は 2%だった。
参考:【科学技術・学術政策研究所】全国イノベーション調査2022年調査統計報告[NISTEP REPORT No. 200]を公表しました