ATRインタラクション科学研究所と大阪大学大学院の共同研究グループは、見た目の似ている対象が複数(特に2つ)存在するとき、対象間のつながりが見える方が「かわいい」と感じられることを、写真と動画を用いて明らかにした。
「かわいい」という感情に重要な要素は何か。ロボットのような製品は設計後に見た目を変化させにくい。そのため、見た目以外の要素で「かわいい」と感じる度合いを増加させることができれば、人にとって親しみやすいロボットの実現が期待できる。
例えば、サクランボが1粒で置かれているよりも、2粒が房でつながって置かれているほうが、「かわいい」と感じられる。研究グループは、複数の対象につながりがあるように見えると、人はよりその対象を「かわいい」と感じる、という仮説を立てた。
そこで、人・モノ・ロボットの数が「かわいい」と感じる度合いに与える影響を検証した。対象数が1の場合、2でただ並んでいる場合、2でつながりを感じさせるように並んでいる場合の写真を用いてWEB上でアンケートを収集。その結果、対象の種類にかかわらず、数が2でつながりを感じさせるように並んでいる場合が最も「かわいい」と評価された。また、動画を用いた実験でも同じ結果が得られた。
さらに、ロボットの台数を1台から10台まで変化させて、ロボットが手を振ってあいさつする様子を動画で作成してWEBアンケートを行った結果、2台の場合が最も「かわいい」と評価された。
今回の成果は、ロボットという人工物でも、複数台による関係の表出を行うことで、より「かわいい」と感じられることを示している。親しみを感じられるロボットの設計に役立つことが期待される。