大阪大学は2026年度入試から基礎工学部の学校推薦型選抜に女性枠を設置する。女性の理工系人材を増やすのが狙いで、4学科合計で20人を募る。例年、同学部の女性の割合が1割前後で、産業界が求める女性の理工系人材養成の役割を十分に果たせる状況ではなかったことから「女性枠の創設で研究の活性化を期待する」とメッセージを発表した。

 大阪大学によると、基礎工学部の学校推薦型選抜では2026年度入試から募集区分を一般枠と女性枠に分け、電子物理科学科、化学応用科学科、情報科学科がそれぞれ一般枠9人、女性枠4人の計13人、システム科学科が一般枠18人、女性枠8人の計26人を募集する。一般枠の募集人員は従来の定員と同じ45人で、女性枠の20人を増やす格好。その分、一般選抜の募集定員を減らす。

 女性枠への出願条件は戸籍上の性別が「女性」である者とし、条件を満たす対象者は一般枠と女性枠の両方に出願したものとする。選抜方法は従来の学校推薦枠と同様で、大学入学共通テストの成績と自己推薦書等の書類、面接で判定する。第1次選考は一般枠、女性枠を区別せずに行う。第2次選考は女性枠、一般枠の順に進め、女性枠で不合格となった志願者は一般枠の合否判定対象者になる。

 関西の国公立大学は2016年度に兵庫県立大学工学部が15名(352名中)の女子枠を設けた後、2025年度から神戸大学システム情報学部(仮称・新設)15名(150名中)、和歌山大学システム工学部10名(290名中)、2026年度から京都大学工学部24名(955名中)、京都大学理学部15名(311名中)が女性枠の設置を発表しており、ここに大阪大学が加わった。

 大阪大学基礎工学部入試委員会は女性枠の導入について「近い未来に大阪大学基礎工学部において本措置が無くとも女性の在籍率が改善されていき、将来的には本措置が撤廃されることを希望します」とコメントしている。

 大阪大学は2022年度の学部入学生から「大阪大学学部入学生(女子学生)対象 入学支援金制度」を実施して理工系女子学生を中心に支援を開始。自然科学系の学部及び研究科に在籍する女子学生を対象としたネットワークづくりや、トイレ内の生理用品の無償提供など女子学生のウェルビーイング実現に力を入れている。また、女子中高生に向けて広報冊子「will」を配布し、先輩の女子学生からのメッセージを伝えている。

 さらに女性研究者に対しても、学内保育施設の運営や子育て支援事業、研究支援に力を入れており、国立大学のなかでは最多となる654人の女性教員が活躍している(2022年、国立大学協会調べ)。

参考:【大阪大学】令和8年度からの基礎工学部における入学者選抜方法の変更について(PDF)
令和8年度からの基礎工学部学校推薦型選抜における女性枠の新設に関する基礎工学部からのメッセージ(PDF)
大阪大学ダイバーシティ&インクルージョンセンター

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