滋賀医科大学の宮口凜氏(医学科第5学年)らの研究グループが、レストレスレッグス症候群(RLS)における抑うつ状態の合併率に関する系統的レビューを報告。RLS患者の約30%に抑うつ状態を合併することが示された。
RLSはむずむず脚症候群とも呼ばれ、主に下肢の不快感と動かしたくなる衝動を特徴とする疾患。症状は安静時(特に夕方から夜)に悪化し、動くことで緩和される。RLSの有病率は約7%で、女性は男性より2倍多く発症し、全年齢にみられる疾患だ。
近年、ドパミン神経系の共通の異常があるという点で、うつ病との関係が注目されている。うつ病の有病率は約5%、RLS患者では約2割~7割と報告され、その合併率は明らかではなかった。そこで研究グループは、系統的レビューと呼ばれる手法を用いて、RLSにおけるうつ病または抑うつ状態の有病率を調査した。
複数のオンラインデータベースを用いて、「RLSとうつ病」に関する系統的検索を実施。ランダム効果モデルを用いてうつ病と抑うつ状態の有病率や抗うつ薬の利用割合についてメタ解析を行った。3919件の研究がヒットし、24件の研究を解析対象とした。研究には2039人のRLS患者(男性727人、35.7%、平均年齢50.8±14.8歳)が含まれ、抑うつ状態の合併率は30.39%だった。
今回のRLS患者における抑うつ状態の合併率に関する系統的レビューとメタ分析は、世界初の試み。研究グループは、RLS患者において抑うつ状態の合併率が高い背景に、RLSに伴う不眠の影響や、うつ病との共通する神経系の異常(ドパミン神経系の異常)がある可能性を指摘している。今後、RLS患者が抑うつ状態を合併するプロセスや、適切な治療法の検討が必要としている。