株式会社ビズリーチ(東京都渋谷区)が運営する、OB/OG訪問ネットワークサービス「ビズリーチ・キャンパス」は、博士課程の学生や博士課程への進学を検討中の学生のキャリア選択を支援する「ビズリーチ・キャンパス for 博士」を2025年5月27日より開始する。

 「ビズリーチ・キャンパス for 博士」は、実際に社会で活躍する博士人材のキャリアを知り、直接の対話を通じて仕事の理解を深められ、博士課程取得後のキャリアをイメージし、選択肢と可能性を広げることが可能になる。採用する企業側にとっても、採用におけるミスマッチを未然に防ぐ効果が期待できるとしている。対象となる学生は無料で利用することができる。

 文部科学省は、2024年3月に「博士人材活躍プラン」をまとめ、人口100万人当たりの博士号取得者数を2040年に2020年度比で3倍にするという意欲的な目標を公表している。日本の博士号取得者数は2021年度で人口100万人当たり123人。英国の340人、ドイツの338人、韓国の317人、米国の285人、フランスの137人に後れを取っているためで、学士号取得者に対する博士号取得者の割合を3倍の8%、博士後期課程で学ぶ学生の就職率を2023年度より10ポイント高い80%に引き上げるとしている。

 日本では、大学院の修士課程から博士課程に進む学生は2023年度で2003年度から4割減っている。博士人材不足は、日本の科学力や技術力を低迷させる要因の一つと指摘する声も出ている。

 同サービスは、このような日本がかかえる課題の要因の1つとされる、博士人材の多様なロールモデルが提示できていないこと、具体的なキャリアパスに関する情報不足を解消することで、博士課程のキャリア支援に加えて、博士課程進学者の増加も目指している。同サービスを提供するにあたり、企業は富士通株式会社など15社と契約しており、北海道大学大学院が連携を開始している。

 文部科学省 学校基本調査によると、2024年4月の大学院博士課程への入学者は、1万5744名。校種別に見ると、国立66.3%、公立7.3%、私立26.4%で、国立大学が圧倒的に多い。

 専攻分野別では、人文科学5.9%、社会科学5.7%、理学7.3%、工学18.7%、農学4.7%、医学22.2%、保健(医学除)16.2%、家政0.3%、教育3.0%、芸術1.0%、そのほか15.0%で、医学と工学が多くなっている。
 
 出身大学を見てみると、当該大学61.8%、他大学27.5%、外国の学校卒9.1%、その他1.6%で、修士課程と同じ大学に進学している人が圧倒的に多い。年齢別に見ると、20歳代61.0%、30歳代26.9%、40歳代以上12.1%で、うち社会人39.8%、留学生19.7%となっている。

 2024年3月の博士課程の卒業者は、1万5673名。就職者は1万967名で70.0%。卒業者のうち満期退学者は3355名で21.4%。ポストドクター等は1827名。就職者を職業別に見ると、専門的・技術的職業従事者が91.5%で、専門的・技術的職業従事者の内訳は、研究者27.3%、医師・歯科医師・獣医師・薬剤師27.3%、教員23.7%、製造技術者(開発)7.5%、情報処理・通信技術者3.2%などとなっている。

参考:【株式会社ビズリーチ】
ビズリーチ・キャンパス、博士課程の学生のキャリア選択を支援する「ビズリーチ・キャンパス for 博士」を開始〜OB/OG訪問を通じて博士人材のキャリアを可視化することで、情報不足を解消〜
北海道大学大学院工学院×ビズリーチ・キャンパス 博士課程の学生等に特化したキャリア支援に関する連携を開始

大学ジャーナルオンライン編集部

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