東京薬科大学薬学部(東京都八王子市)は薬剤師の地域偏在是正を目指し、2026年度入試から長野県と茨城県の地域枠選抜を設ける。いずれも県内に薬科大学や薬学部がない地域で、2025年度入試から始めた山梨県の地域枠選抜とともに地域の薬剤師確保に協力する。

 2026年度の募集人員は長野、茨城両県が各2人、山梨県が3人。各県に住所を置き、高校または中等教育学校を2025年3月に卒業したか、2026年3月に卒業予定の者が対象で、適性能力審査と小論文、面接、書類選考で合否判定する。合格者のうち、成績上位者は入学金40万円を免除する。詳細は2025年8月上旬ごろに発表予定の募集要項に掲載する。

 6年制の薬学部・薬学科については、2025年度から教育の質の維持・確保のため薬剤師養成に関する定員増加の抑制が行われており、2026年度入試から東北医科薬科大学は入学定員を300→280人、城西大学は250→200人、徳島文理大学は150→90人に変更することが発表されている。

 しかし厚生労働省によると、薬剤師は2022年度末時点で宮城県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、広島県、徳島県、香川県、福岡県以外の道府県で不足している。薬科大学や薬学部がない県は全国で14県あり、地域の需要に応じて薬剤師の地域偏在を解消するための人材養成を行う場合は定員抑制の例外となる。

 2025年度入試では、明治薬科大学(東京都清瀬市)が14県に薬剤師不足が予想される県を加えた計21県を対象に地域枠選抜方式を行っているほか、順天堂大学(千葉県浦安市)が茨城県、神戸薬科大学(兵庫県神戸市)が鳥取、島根、高知、福井の4県、崇城大学(熊本県熊本市)が長崎県・鹿児島県・沖縄県の離島出身者を対象に同様の選抜を行っている。

 また、東北医科薬科⼤学(宮城県仙台市)では秋田県・宮城県を対象に地域支援制度を設定している。国公立大学では富山大学薬学部、和歌山県立医科大学薬学部が県内学生を対象に地域枠を設けている。

参考:【東京薬科大学】東京薬科大学 薬学部が山梨・茨城・長野県の高校生を対象とした「地域枠選抜」を新設
【厚生労働省】第13回薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 資料

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大学ジャーナルオンライン編集部

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