2025年6月20日、世界的数理科学者であるエリック・ドメイン(DEMAINE, Erik)教授が、マサチューセッツ工科大学(MIT)とのクロスアポイントメント制度※により、北陸先端科学技術大学院大学(石川県能美市)の先端科学技術研究科教授に着任した。コンピューティング科学研究領域の上原隆平教授、鎌田斗南助教とともに先端数理・折り紙研究を展開する。

 ドメイン教授はわずか20歳で博士号を取得し、同年MITで准教授に就任した卓越した研究者である。計算幾何学の分野でも特に「計算折り紙(Computational Origami)」の創始者の一人として世界的に知られており、折り紙の幾何学的構造をアルゴリズム的に解明する独創的な研究を展開している。この研究はロボティクス、バイオインフォマティクス、材料設計など多岐にわたる分野で応用されている。また、アートと数学の融合など幅広く活動し、2003年にはマッカーサー・フェロー(通称:天才賞)を受賞。折り紙に着想を得たアート作品は、ニューヨーク近代美術館などでも展示されている。

 北陸先端科学技術大学院大学においては、コンピューティング科学研究領域の上原隆平教授との共同研究により60編を超える共著論文を発表しており、両教授による「折り紙と計算」の学際領域は、国際的にも高い評価を受けている。

 ドメイン教授は着任にあたって「20年以上にわたる北陸先端科学技術大学院大学との協働が新たな段階を迎える。計算折り紙を軸に科学と芸術の融合を実現したい」とコメントしており、今後、上原教授とコンピューティング科学研究領域の鎌田斗南助教も加えた3者での研究活動を予定している。また、教育・若手研究者との共同研究の機会創出や、MITの学生・若手研究者との双方向交流などを通じて国際的な研究人材を育成していくとしている。

※クロスアポイントメント制度とは、研究者が複数の大学・研究機関などに所属し、それぞれで業務を行うことのできる仕組み。これにより機関の枠を越えた知の交流や技術移転の加速、研究活動の高度化が期待されている。

参考:【北陸先端科学技術大学院大学】世界的数理科学者が北陸先端科学技術大学院大学に着任 ―MITとのクロスアポイントメントによる先端数理・折り紙研究の国際連携が始動-

大学ジャーナルオンライン編集部

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