保健医療経営大学を運営する学校法人ありあけ国際学園は理事会を開き、廃止を前提として2020年以降の学生募集を停止することを決めた。近年、入学する学生数が低迷していたうえ、18歳人口の減少で回復させる手立てがないと判断したもようで、2019年度入学生が卒業する2023年春で閉学する見込み。
保健医療経営大学は福岡県みやま市に本部を置き、2008年に開学した。学部は保健医療経営学部だけで、マネジメント、データサイエンスの2コースを設けている。
保健医療経営学の学士が取れる日本唯一の大学という触れ込みだったが、開学以来入学者数が定員を満たしたことがない。2013年度からは150人の定員を80人に削減したものの、効果が出なかった。
その結果、学校法人を設立した社会福祉法人からの借入金が膨らみ、文部科学省から財政健全化に向けた指導を受けていた。近隣の他大学との統合も検討したが、実現の見込みが立たず、経営再建が困難と判断したとみられる。文科省には既に学生募集停止の方針を伝えている。
ありあけ国際学園と保健医療経営大学は「未来を見据え、世界に貢献する人材を育てようとしてきたが、18歳人口が減少の一途をたどる社会情勢を踏まえ、募集停止とすることにした」としている。
少子化による18歳人口の減少で学生を確保できずに経営が行き詰まる地方の私立大学が相次いでいる。多くの地方自治体が1980年代以降、地域振興を目指して大学を誘致したが、文科省が2010年度以降に廃止を認可した私立大学は21校に上る。
全国の私立大学のうち、約4割に当たる210校が定員割れで、事業活動収支が赤字の私立大学も約4割に達した。今後、地方の人口減少が加速すると予測されていることから、廃止を余儀なくされる地方の私立大学が続くとみられている。