全国の大学病院で診療に当たる大学教員以外の医師や歯科医師のうち、22%に報酬が支払われていないことが文部科学省の調査で分かった。文科省は2019年6月、付属病院を置く国公私立大学の学長に対し、適切な雇用、労務管理に取り組むことを求める通知を出しているが、今後改善方策や再発防止策の履行状況を確認する。
文科省によると、調査は全国の国公私立大学病院99校、108病院を対象に実施、対象者約3万2,000人の謝金を含む給与支給状況を2018年9月期現在で調べた。その結果、給与が支払われていたのは全体の78%に当たる約2万4,700人で、22%に当たる約7,100人が給与を受け取っていなかったことが分かった。
給与が支払われていない人のうち、13%に当たる72病院の約4,200人は合理的な理由があるとして給与が支給されていなかった。さらに、6%に当たる44病院の約2,000人は合理的な理由があるとして給与が支給されていなかったが、労務管理の専門家と相談した結果、今後給与を支払うことになった。3%に当たる29病院の約800人は合理的な理由がないまま給与が支給されていなかったため、過去にさかのぼって給与を支払う。
給与を支給しなかった理由として、大学側は自己研鑽や大学院の研修の一部として診療していたなどと説明している。しかし、労働上限時間や研修範囲を超えて診療に従事し、事実上ただ働きさせていたケースも目立った。問題が発覚した各大学病院では病院長から適切な労務管理を徹底させるなど、対策が講じられる。