公立大学協会の清原正義会長(兵庫県立大学学長)、国立大学協会の里見進会長(東北大学総長)、日本私立大学団体連合会の清家篤会長(慶應義塾長)が、馳浩文部科学相、麻生太郎財務相を訪ね、国公私立大学の基盤的経費拡充を求める要望書を手渡しました。3団体は、国の基盤的経費削減により、教育格差が広がったうえ、研究力の低下や若手人材育成の危機を招いているとし、国の予算拡充を強く求めています。
研究力の低下では、論文数や引用数で我が国の国際的地位が近年、低下傾向にあるのは、基盤的経費の削減で博士課程進学者数の減少や研究時間の減少など看過できない弊害が原因だとしています。さらに、若手人材育成の点では、基盤的経費の削減が若手人材の雇用や大学院進学者の減少にもつながったと指摘しました。こうした点から、3団体は基盤的経費の削減に歯止めをかけ、充実に向けて舵を切るよう国に要請しています。
これに対し、馳浩文科相は「国公私立の地方大学は、若い人を受け入れて立派に社会へ送り出して地元の産業を活性化させ、シンクタンクを務める役割も担っている。その重要性をしっかりと認識していきたい」と答えました。
国立大学に対する運営費交付金など基盤的経費が削減されていることに対し、国立大学協会は寄附金確保の取り組みを促進させる所得控除、税額控除の選択制度導入に加え、運営交付金の拡充を求める決議を採択。公立大学協会も公立大学に関わる地方交付税措置に関し、算入単価の確実な確保を総務相、文部科学相に要望したほか、有力国立私立大学11校からなる学術研究懇談会が基盤的研究経費の充実を求める提言を公表するなど、大学側の要請活動が続いています。