2020年10月5日、法政大学の田中優子総長は、日本学術会議が新会員として推薦した105人の研究者のうち、加藤陽子東京大学教授ら6人について菅義偉首相が任命を拒否した問題で、任命拒否は憲法で保障された学問の自由を損なう行為だとして強く批判するメッセージを発表した。
法政大学によると、田中総長は日本学術会議が首相の所管にある一方で、独立して職務を行う機関であり、その独立性や自律性が政府や歴代の首相に認められてきたと主張。会員がノーベル賞受賞者ら国内で最も優れた研究者であり、首相が研究の質によって任命判断できるものではないと指摘した。
今回の任命拒否が学問の自由だけでなく、国民の利益を損なうことになるとしたほか、「学会から推薦していただいたものを拒否しない」とした学術会議法改正時の政府答弁と矛盾すると菅首相を強く批判した。さらに、任命拒否の明確な理由が示されない点について、政府が行政に不可欠な説明責任を果たしていないとしている。
今後については政府に学問の自由を侵害する不公正な行為があったのなら、断じて許してはならないとして国内外のネットワークと連携し、今回の任命拒否の問題を問い続ける考えを明らかにした。
参考:【法政大学】総長メッセージ日本学術会議会員任命拒否に関して
【日本学術会議】第25期新規会員任命に関する要望書(PDF)