東京都市大学の宮地英生教授(メディア情報学部情報システム学科)は、人の目が少なくとも約1000分の8秒(8ミリ秒)の変化を認識できることを実験により明らかにした。
近年、コンピュータゲームを用いて、身体・知的能力を競う「eスポーツ」(エレクトロニック・スポーツ)が盛んだ。同スポーツは、体力に差のある若者と高齢者間でも対戦できるが、反射神経は加齢により衰えるため、公平性を保つには若者に一定のハンデが必要となる。また、高性能のコンピュータシステムが勝負に有効とされるが、科学的に示された例は多くない。
今回の研究では「モニターの色が白から青に変化したらボタンを押す」単純反応時間を計測するパソコン用ゲームを独自に開発。モニターには、約1000分の4秒(動作周波数240Hz)ごとに画像が変わる最高性能の市販パソコンモニターを使用した(日常使用のモニターは60Hz)。
宮地教授と学生の計6人が、モニター上の画像が変化した瞬間にボタンを押して判断能力(単純反応速度)を測定した。240Hzと120Hzのそれぞれの動作時に30回ずつ実験し、ボタンを押す平均時間の遅れを求めた。その結果、240Hzのときに反応速度が速くなり、少なくとも人の目が1000分の8秒の画像変化を認識することが判明した。
このため、年齢差のある競技者間ではモニターの周波数変更により、容易にハンデの設定が可能だ。また、今回の実験は若い学生が中心だったが、年齢が増しても高速で画像が変化するeスポーツにより判断能力の向上は可能と考えられるという。今後は経験者のみが持つスキルを明らかにし、eスポーツが人のスキルを高め、健康にも効果があることを示していく予定という。