法務省は、法曹の収入や所得、大学在学中の奨学金の利用状況などに関する調査を行い、その調査結果を公表した。
法務省が行ったこの調査は、2015年6月30日の法曹養成制度改革推進会議決定を踏まえ、法曹の収入・所得,大学・法科大学院在学中の奨学金等の利用状況等を把握することを目的としたもの。調査期間は2016年3月中旬から下旬。
53期(修習終了2000年)から67期(修習終了20016年)までの弁護士7,912人を対象に、2013年~2015年までの収入および所得を調査、また、新60期から新65期、66期から68期までの判事補・検事・弁護士6,813人を対象に、大学・法科大学院在学中の奨学金等の利用状況などを調査した。
弁護士の収入において、2013年分から2015年分までの経験年数別の収入・所得を見ると、弁護士登録1年目となる67期の2015年分の収入の平均は568万円。2010年に比べ210万円も減少した。登録10年目は2251万円で2010年に比べ406万円の減少、登録15年目は3,085万円で2010年に比べ617万円も減少し、新人だけではなく、全体的に弁護士の平均年収は年々低下傾向にあることがわかった。
これは、収入源だった消費者金融への過払い金返還請求の業務が一巡し、また、法曹人口の拡大で「弁護士余り」の状況が続いていることも背景にあるとみられている。
奨学金等の利用状況は、大学在学中に貸与型奨学金等を利用したと回答したのは22.9%。借入機関は日本学生支援機構88.8%と最も多く、種類は第一種(無利息)52.0%、第二種(有利息)48.0%。また、大学・法科大学院在学中の貸与型奨学金等の残債務額の合計(司法修習終了後5年6月経過時点)は、100~200万円未満が4.9%で最も多かった。