大阪大が設立した投資会社・大阪大学ベンチャーキャピタル株式会社(大阪府吹田市、松見芳男社長)の投資計画が、経済産業省と文部科学省から認定されました。2014年の産業競争力強化法施行に伴い、国立大学がベンチャーキャピタルを設立できるようになりましたが、新しい制度の下で大学が研究成果の事業化を進めるのは今回が初めて。今後、財務省などと協議の上、1号ファンドがスタートし、ベンチャー企業に投資を始めます。

阪大ベンチャーキャピタルは2014年12月、阪大の全額出資で学内に設立された投資会社。今後、資本金3500万円のうち1000万円と、阪大が新たに出資する100億円を1号ファンドに拠出し、ベンチャー企業への投資を始める計画です。1号ファンドの期間は10年。投資の対象は阪大の研究成果を活用するベンチャー企業や阪大と共同研究企業との合弁会社。民間からも出資を募ることにしています。

大学発のベンチャー企業としては、スタンフォード大発の検索エンジン・グーグルやハーバード大発のソーシャルネットワーク・フェイスブックなど米国の企業が有名ですが、国内では米国のように短期間で急成長した企業は見当たりません。経産省大学連携推進室によると、設立件数で日本は米国に遠く及ばず、逆に倒産率が異常に高くなっています。大学の研究者が成果を事業化する文化がなく、ベンチャー企業に対する民間金融機関の融資が進まなかったことが原因と考えられます。

このため経産省は、大学自らが出資する今回のケースが大学発のベンチャー企業育成につながると期待しています。国内の大学では既にベンチャーキャピタルを設立している京都大と東北大、設立計画を提出している東京大が認定を目指しており、大学発ベンチャー企業への支援が一気に広がりそうです。
阪大 ベンチャーキャピタルの投資計画認定

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