静岡大学工学部の守田智教授は、長崎大学熱帯医学研究所の伊東啓助教、重田桂子協力研究員、山本太郎教授とともに、日本全国の性風俗産業における性接触ネットワークを抽出・分析することに成功した。
研究グループは性風俗産業のうち、全国のソープランドを利用した男性の顧客が相手をした女性セックスワーカーのことを書き込んだ性風俗商用サイトの口コミを基に、性接触ネットワークを再構築した。
その結果、男性顧客と女性セックスワーカーという二部ネットワークが構築でき、それぞれを分析することにより、さまざまな構造特性を明らかにすることが可能になった。
近年、SNSなどを通じて大規模な社会的ネットワークを研究することが増えているが、性的接触については技術的な問題とプライバシーの観点から、十分な研究が行われず、実態が謎に包まれていた。しかし、性風俗商用サイトの口コミを利用することにより、性接触に関する研究の中でも世界最大規模と正確性を持つネットワークを構築することができた。
研究グループは男性顧客と女性セックスワーカーがネットワーク上で果たす役割の違いについて分析することが可能になったほか、性感染症のまん延など公衆衛生の分野で重要な知見を得ることができるようになったとしている。
論文情報:【PLOS ONE】Exploring sexual contact networks by analyzing a nationwide commercial-sexreview website