所得や学歴より自分の進路を自分で決める自己決定度が日本人の幸福感をより上昇させているとする調査結果が、神戸大学社会システムイノベーションセンターの西村和雄特命教授、同志社大学大学院経済学研究科の八木匡教授の共同研究でまとまった。神戸市灘区の出光佐三記念六甲台講堂で2018年9月12日に開かれる神戸大学経済経営研究所創立100周年記念シンポジウムで報告される。
調査は2018年2月、全国の20~69歳の男女にインターネットを通じて調査票を配信し、信頼性の高いデータ約2万件を回収、収入や学歴、自己決定度、健康、人間関係の5つの要因が幸福度にどう影響しているのかを分析した。
それによると、幸福感と年齢の関係では、若い時期と老年期に幸福感が高く、35~49歳で落ち込むU字型曲線を描いていることが明らかになった。所得との関係では、所得が増すごとに幸福感が上昇しているが、世帯年収1,100万円を超すと幸福感が頭打ちになっている。
幸福感に影響を与えた要因は、健康、人間関係の次に自己決定度が高かった。進学先や就職先を自分で最終決定した人ほど幸福感が高く、周囲の勧めで決めた人は不安感が強い傾向が見られた。
研究チームは自己決定で進路を選ぶと、自らの判断と努力で目的を達成する可能性が強まり、成果に責任と誇りを持ちやすくなることから、幸福感を感じるとみている。日本は国連の世界幸福度報告書で54位に低迷している。幸福度を高める鍵は個人の選択を尊重する社会になることだと分析している。