東京工業大学環境・社会理工学院の岩波光保教授と三菱電機、鹿児島大学は、土木インフラの長期にわたる維持管理計画を簡単に作成できる支援技術を開発した。高度経済成長期に建設された橋梁などの土木インフラが更新時期を迎え、壊れる前に補修する予防保全が必要になっているだけに、地方自治体の注目を集めそうだ。
東京工業大学によると、新技術は鹿児島県薩摩川内市の協力を得て開発された。研究グループは薩摩川内市が管理する538本の橋梁のデータと点検結果を解析してコンクリート橋の劣化に大きく影響するひび割れ、はく離、鉄筋露出などの損傷から劣化の進行速度を予測する独自の「劣化進行モデル」を考案した。これを活用して早期に劣化しそうなインフラを見つけ、最適な補修時期をはじき出せるようにしている。
さらに、損傷の種類と度合いによって補修コストを算出する「補修コストモデル」を開発し、劣化の進行に応じた補修コストの見積もりを可能にするとともに、予防保全に必要なコストと効果を可視化した。
多様な維持管理目標を指標化することにより、目標を考慮した多数の維持管理計画が作成できるほか、優先すべき目標を視野に入れた計画作成も可能にしている。
インフラの予防保全には長期にわたる維持管理計画が必要になるが、管理対象となるインフラは数が膨大で、管理者の意図を正確に反映させる計画の作成が難しくなっている。