経済産業省の外郭団体である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、2019年度未踏IT人材発掘・育成事業に採択した未踏クリエータ26名の中から、さらに、卓越した成果を挙げた17名を2019年度の「スーパークリエータ」として認定した。

 情報処理推進機構(IPA)では、突き抜けた才能を持つ若いIT人材(クリエータ)を発掘・育成するため、2000年度から「未踏事業(未踏IT人材発掘・育成事業)」を実施している。これまで、延べ1,700名以上のクリエータを採択・育成。その中でも特に卓越した能力を持つと認められたクリエータを「スーパークリエータ」として認定し、2019年度の17名を加え、総勢344名となった。

 2019年度のスーパークリエータの中には、プライバシ性の高い生命情報の秘密計算を実行可能とするクラウドプラットフォームの開発や、ARMアーキテクチャ上のソフトウェアのバグや脆弱性を効率的に検知するシステムの開発など、セキュリティ技術向上に寄与する成果を挙げた人材もみられた。このほか、イチゴの安定生産を可能にするロボットシステムの開発や、空想現実世界での実在感を保ったまま食事を可能にする技術の開発、指先の触覚を背中に転移させることで触知覚能力の向上を目指すシステムの開発など、社会的インパクトの大きい成果を挙げた人材もいた。情報処理推進機構では、発掘したスーパークリエータたちが日本の産業分野、学術分野など幅広い分野で社会を牽引していくことを期待している。
 
2019年度のスーパークリエータ17名とそのプロジェクト名は以下のとおり ※カッコ内は年齢と所属
・市川友貴さん(22歳・Dot Robotics)
『虫媒に代わるいちごの自動受粉ロボットシステムの開発』

・上田裕己さん(26歳・奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 博士後期課程 2年)
『開発者が行ったソースコード修正作業を学習し代行するボット』

・大峠和基さん(23歳・筑波大学 大学院 図書館情報メディア研究科 博士課程前期)
『機械学習を用いたSNS向けテロップ自動生成』

・大塚馨さん(18歳)
『プロセッサトレースを用いた組み込みデバイス向けファザーの開発』

・岸田聖生さん(24歳・電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 情報学専攻 博士前期課程 修士2年)
『電気の様子が手に取るようにわかる回路学習ツールの開発』

・久野文菜さん(23歳・中京大学 大学院 工学研究科 情報工学専攻 濱川研究室 修士2年)
『スペクトログラム生成による多重奏からの聴音支援システムの開発』

・櫻井碧さん(24歳・日本IBM株式会社 GBS部門 ITスペシャリスト)
『生命情報解析向けインタプリタを搭載した秘密計算用クラウド』

・田脇裕太さん(26歳・慶應義塾大学 理工学研究科 後期博士課程/未来創造研究所 研究員/産業技術総合研究所 リサーチアシスタント)
『IoTを活用した介護予防のためのリハビリテーション支援システム』

・中野萌士さん(24歳・奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 博士後期課程1年)
『VR空間における食体験の構築』

・伴野良太郎さん(21歳・京都大学 工学部 情報学科 4年)
『準同型暗号によるバーチャルセキュアプラットフォームの開発』

・堀田大地さん(22歳・東京大学 大学院 学際情報学府 学際情報学専攻 修士課程)
『VR空間における食体験の構築』

・松浦知也さん(25歳・九州大学 大学院 芸術工学府 博士後期課程)
『プログラマブルな音楽制作ソフトウェアの開発』

・松岡航太郎さん(21歳・京都大学 工学部 電気電子工学科)
『準同型暗号によるバーチャルセキュアプラットフォームの開発』

・松本直樹さん(21歳・京都大学 工学部 情報学科 4年)
『準同型暗号によるバーチャルセキュアプラットフォームの開発』

・森篤史さん(23歳・株式会社サイバーエージェント)
『機械学習を用いたSNS向けテロップ自動生成』

・森瑞穂さん(24歳・電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 本多研究室)
『高速なVMI機構を実装したバイナリ解析基盤』

・森山多覇さん(26歳・電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 情報学専攻)
『指先の触覚を身体の他部位に転移させるデバイスの開発』

参考:【情報処理推進機構】2019年度未踏IT人材発掘・育成事業の「スーパークリエータ」17名を認定

大学ジャーナルオンライン編集部

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