京都府立医科大学の安藤新人5年生、小山晃英講師、上原里程教授らの研究グループは、日常身体活動時間と内臓脂肪とBMIの関係を解析し、座っている時間が長い人は内臓脂肪が多く、立っている時間・歩いている時間が多い人は内臓脂肪が少ないことを明らかにした。

 内臓脂肪の蓄積は心血管疾患のリスクとされる。対策としては習慣的な運動が有効だが、さまざまな理由から運動の継続は容易ではない。そこで今回、運動習慣ではなく日常の身体活動時間と内臓脂肪の関係に着目し、座位(座る)、立位(立つ)、歩行(歩く)のそれぞれの時間が内臓脂肪の蓄積にどのように関係しているのかを、対象者3,543名(男性1,240名、女性2,303名、平均年齢57.6歳)のデータを用いて研究した。

 その結果、座位時間は2時間増えるごとに、腹囲内臓脂肪面積が1.145平方cm増加し、立位時間と歩行時間は2時間増えるごとに、腹囲内臓脂肪面積がそれぞれ、0.763平方cm、2.023平方cm減少することが示された。BMIは座位時間、立位時間とは関係を示さず、歩行時間が2時間増えるごとにBMIは0.172減少することが認められた。

 以上の結果は、余暇時間の運動強度や生活習慣(飲酒、喫煙、睡眠時間)に関わらず、座位時間を短縮させ、立位時間や歩行時間に移行することが内臓脂肪蓄積の対策として重要となり得ることを示している。肥満の指標として使われるBMIは、筋肉と脂肪の割合を正確には反映していないとされ、今回の研究も同様であった。

 これにより、普段運動習慣がない人も、日常の座位時間を立位時間や歩行時間にシフトすること(スタンディングデスクの使用や、立ちながらの会議など)で内臓脂肪蓄積の対策ができる可能性が示唆されるとしている。

論文情報:【Obesity Research & Clinical Practice】The Association of Daily Physical Activity Behaviors with Visceral Fat

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