2019年度に運転を始めた国内の風力発電、地熱発電の伸び率が、太陽光発電を上回ったことが、千葉大学大学院社会科学研究院の倉阪秀史教授、NPO法人環境エネルギー政策研究所の調査で明らかになった。2012年の固定価格買取制度(FIT)導入後、太陽光バブルと呼ばれる太陽光発電の爆発的な導入増加が続いていたが、風力発電や地熱発電がこれを上回ったのは初めて。
千葉大学によると、2019年度に導入された風力発電の総量は76.4ペタジュール。2018年度の68.0ペタジュールから12.2%増えた。地熱発電は23.0ペタジュールで、2018年度の20.3ペタジュールから13.3%伸びている。
これに対し、太陽光発電は676.8ペタジュールで、2018年度の637.7ペタジュールから6.1%の伸びにとどまり、FIT導入後初めて伸び率で風力や地熱発電を下回った。
FIT導入後、運転開始までの期間が短く、簡単に設置できる太陽光発電に発電事業者の関心が集中し、各年度の発電総量、伸び率とも他の再エネを引き離していた。しかし、太陽光発電の固定価格買取額が毎年低下しているうえ、簡単に設置できて地元地方自治体や住民の反対を受けない場所が少なくなってきたほか、運転開始までの時間がかかる大型案件の風力や地熱発電に発電事業者の目が向き始めたことが逆転を生んだとみられる。
ただ、発電した電力量に占める割合を見ると、太陽光発電が全体の65.3%を占めている。洋上風力発電の計画が全国各地で動き始めているとはいえ、もうしばらくは太陽光発電が再エネの主役を務めることになりそうだ。
参考:【千葉大学】固定価格買取制度の導⼊後はじめて⾵⼒発電・地熱発電の伸び率が太陽光発電を上回る 「永続地帯2020年度版報告書」の公表