私立大学の2025年度入学志願動向について、日本私立学校振興・共済事業団が集計した結果、入学定員充足率はすべての規模・地域・学部系統で上昇した。
大学全体では、入学定員充足率が98.19%から101.61%へと3.42ポイント上昇し、未充足校の割合は59.2%から53.2%へと6.0ポイント改善した。
規模別にみても全11区分で上昇しており、最も上昇幅が大きかったのは「600人以上800人未満」で93.86%から99.92%(+6.06ポイント)、最も小さかったのは「3,000人以上」の103.71%から105.85%(+2.14ポイント)だった。
地域別でも、大学別・学部別の集計ともに21区分すべてで充足率が向上。最も上昇したのは「四国(大学別集計)」で76.14%から84.67%(+8.53ポイント)、最も上昇幅が小さかったのは「東海(愛知を除く、大学別集計)」で90.48%から90.52%(+0.04ポイント)だった。
さらに学部系統別でも、13区分すべてで充足率が改善した。最も大きく上昇したのは「歯学」で76.44%から86.66%(+10.22ポイント)、最も小さかったのは「薬学」で90.26%から91.50%(+1.24ポイント)だった。
短期大学全体では、入学定員充足率が70.15%から73.78%へと3.63ポイント改善し、未充足校の割合は91.5%から88.4%へと3.1ポイント低下した。しかし、2025年度もすべての規模・地域・学科系統で充足率100%未満にとどまった。募集停止短大は、2025年度からが23校、2026年度からの予定も23校となっている。
18歳人口は、2024年度入試対象の106万3,452人から2025年度入試対象の109万562人へと2.5%増加している。2025年度入学志願動向における、入学定員充足率の上昇や、未充足校の割合の改善は、18歳人口増が一因と考えられる。
その後、2026年度入試対象の18歳人口は109万2,664人(0.2%増)とほぼ変わらないものの、2027年度入試対象は108万5,123人(0.7%減)と減少に転じ、2028年度入試対象以降も減少が続く見通しである。
2025年度からは修学支援新制度が拡充され、多子世帯に属する学生等は所得制限なく授業料等の減免を受けることが可能となった。私立大学では年間授業料最大70万円、入学金最大26万円が減免され、条件を満たせば4年間で計306万円の支援を受けることができる。これも、入学定員充足率の上昇や、未充足校の割合の改善につながったのではないかと考えられる。
※大学の集計区分は以下の通り
〇規模区分
100人未満、100人以上200人未満、200人以上300人未満、300人以上400人未満、400人以上500人未満、500人以上600人未満、600人以上800人未満、800人以上1000人未満、1000人以上1500人未満、1500人以上3000人未満、3000人以上
〇地域区分
北海道、東北(宮城を除く)、宮城、関東(埼玉、千葉、東京、神奈川を除く)、埼玉、千葉、東京、神奈川、甲信越、北陸、東海(愛知を除く)、愛知、近畿(京都、大阪、兵庫を除く)、京都、大阪、兵庫、中国(広島を除く)、広島、四国、九州(福岡を除く)、福岡
〇学部系統
医学、歯学、薬学、保健系、理・工学系、農学系、人文科学系、社会科学系、家政学、教育学、体育学、芸術系、その他