「もう一度勉強し直したい」「今から学びたいことがある」
社会人として働き始めてから、そんな思いを胸に学び直す機会を考える人も多いのではないだろうか。

2015年、政府は「社会に出た後も誰もが学び続けられる社会」を提言した。日本における「大学=18歳入学」という従来のモデルを打破することを必要とし、社会人が学習への意欲を持ち続け、新たな能力を獲得するための学び直し機能の強化を宣言している。
実行に向け、文部科学省が社会人の学び直しのためのプログラムの認定制度を設置するなど、政府は社会人学習を後押しする。学び直しをする社会人の受講者数については、今後5年間で12万人から24万人への倍増を目指す。
女性の活躍に資するための学び直しも支援するとしており、大学・専門学校等だけでなく、企業についても社会人が学びやすい環境の整備を求めている。

子育てをしながら見つめる将来のキャリア像

2007年以降、在職中に出産した女性の育児休業取得率は80%台をキープし、2015年には81.5%に達している。初産の平均年齢は2015年時点で30.7歳と、1985年時点の26.7歳から30年間で4歳も上昇していることになる。このような現象に伴い、育休後のキャリアを意識した学びが広がっているという分析結果がある。
外資系企業に勤務しながら3歳の愛娘の育児をこなし、京都造形芸術大学の芸術教養学科でデザインを学んだというM.Kさん。「てのひら芸大」は、インターネットが利用できれば通学不要で学ぶことができる。

「実践的な学びに驚きました。早朝に動画を見て、通勤時間にスマホでテキストを読み、夜中にレポートのまとめ。大忙しでしたが面白さとやりがいで夢中になれました」

M.Kさんは見事に大卒資格を取得し、卒業と同時に転職してキャリアアップに成功。「もう少し娘が大きくなったらもう一度専門的なデザインを学びたい」と意気込む。育休をハンディとせず、将来を意識して学べる環境を見つけられた喜びはさぞかし大きかったに違いない。

全国から学べるよう明治神宮外苑にもキャンパスを構える
(京都造形芸術大学 東京外苑キャンパス)

「意欲があれば何歳になっても学べる」を体現し、ギネス世界記録に

2016年3月に京都造形芸術大学を卒業した平田繁實さんはギネス世界記録を持つ。学校を卒業した最高齢として認定され、その記録はなんと“96歳と200日”というから驚きだ。

平田さんは1919年に広島県で生まれ、定年後に陶芸教室に通い始めた。2005年に「陶芸の腕を上げたい」と京都造形芸術大学通信教育部の陶芸コースに入学。御年85歳の出来事である。卒業には11年を要したが、「通信教育ながらスクーリングもあり、若い世代や先生たちと話をするのは楽しかった」と体験談を語っているだけでなく、「100歳を超えたら大学院へ挑戦してみたい」という、前向きなコメントまで残している。
まさに「生涯学習」として、何歳になっても意欲があれば学べる環境があることを証明したと言えよう。

「子供がいるから」「もういい歳だから」などと自分を制限せずに挑むこと。

いつまでも青春を謳歌するモチベーションを持ち続けること。

ネットで誰もが繋がれる時代だからこそ、新たな価値観や人生観を生かして輝ける環境が整っている。飽くなき好奇心と向上心がもたらす豊かな人生のために、学びの門戸は誰にでも開かれているのだ。

大学ジャーナルオンライン編集部

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