政府の社会変革目標「Society5.0」で重要な基盤の1つとなる人工知能(AI)の活用について、内閣府懇談会は健全に利用するための論点を報告書にまとめた。倫理、法、経済、教育、社会、研究開発の6観点から論点を抽出、今後の検討課題とするよう提言している。

 内閣府によると、倫理的論点ではAIと人の判断のバランスを取ることが重要だとして、AIがもたらすサービスで利用者が知らぬ間に感情や信条、行動が操作されたり、順位付けや選別が行われたりしないよう検討が必要とした。

 法的論点では、ビッグデータを活用したAIの利便性確保と個人情報、プライバシー保護の両立について法整備が欠かせないと提言している。

 経済的論点では、AIの導入で人の業務内容が変化する可能性があることから、企業が雇用、働き方の変化に迅速に対応するとともに、労働者が業務を変えられるよう教育環境の整備が必要になるとしている。

 教育的論点では、人の能力をAIと最大限に差異化し、人にしかできない能力を伸長させる教育カリキュラムを検討すべきだとした。

 社会的論点では、AIに対する依存や過信、過剰な拒絶など新たな社会的な病理が生じる可能性があるとして、対応を検討していくことを求めた。

 研究開発的論点では、科学者や研究開発者に倫理観を持った行動を求めると同時に、AIが制御不能とならならないよう配慮し、オープンサイエンスの促進が欠かせないとしている。

参考:【内閣府】「人工知能と人間社会に関する懇談会」報告書

大学ジャーナルオンライン編集部

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