神戸大学は、同学工学研究科の浅野等准教授が参画するグループが、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のプロジェクトとして国際宇宙ステーションでの沸騰・二相流実験を世界で初めて開始したことを発表した。
近年、宇宙構造物の高度化・大型化によって、高性能な冷却・熱輸送システムが必要となっている。とりわけ地球上で発電システムやエアコンなどに広く利用されている沸騰を使った冷却は、気化熱により多くの熱を奪い輸送することができ、冷却システムのコンパクト化と省電力化が可能なことから、今後の宇宙機に適用すべき重要な要素技術として期待されている。しかし、無重力の宇宙空間では浮力がはたらかないため、沸騰で生じた気泡が動かずに大きく成長し、冷却を阻害すると言われている。
本プロジェクト「Two-Phase Flow(TPF)ミッション」では、安定した無重力環境が得られる国際宇宙ステーション「きぼう」において、世界で初めて沸騰・二相流実験を行い、無重力下での気液界面構造と熱の伝わりやすさを明らかにすることを目指す。
得られた成果は、無重力空間での革新的な冷却システムの実現につながるとともに、地上においても、加速度が大きく変化する自動車のモーターや電力機器冷却システムへの応用が期待されるという。