東京大学大学院情報学環・学際情報学府の渡邉英徳研究室は、東日本大震災から12年目を迎えたのを機に戦災・災害のデジタルアーカイブ基金を設立した。広く寄付を募り、基金で太平洋戦争中の広島、長崎への原爆投下や東日本大震災など日本が見舞われた災いの記録を継承する。
東京大学によると、戦災・災害のデジタルアーカイブ基金は被災者の記憶を社会全体で共有し、後世に伝えるのが目的。渡邉研究室は原爆投下や東日本大震災などをテーマにしたデジタルアーカイブシリーズを2010年代から運用しているが、期限付き研究費での運用のため、持続性に問題があった。
そこで、基金によって持続的な予算を確保するとともに、バーチャルリアリティや人工知能など先端技術を取り入れてより使いやすいアーカイブシステムを開発する。新たに構築されるデジタルアーカイブは災いの記録を全世界に発信し、過去から学んで未来に生かす活動を若い世代とともに推進する。
基金には12日現在で31件、62万3,000円の寄付が寄せられている。渡邉英徳教授は東京大学ホームページで「戦災や災害に立ち向かう平和で力強い世界の実現に向け、ご支援を賜りたい」とコメントしている。