日本経済団体連合会は、2016年の新規学卒者の初任給に関する実態と動向を調査。2016年10月13日に公表された結果によると、前年の初任給から引き上げた企業は、2年連続で半数を超えた。
前年の初任給から引き上げた企業は51.1%。初任給を引き上げた企業の割合が2年連続で半数を超えたのは、2000年以降では初となる。内訳としては、春季労使交渉におけるベースアップ等の実施を反映して、「賃金改定後に引き上げた」が大勢を占めた。学歴別の初任給の引上げ額は、短大卒(技術系)と高校卒(現業系)を除く多くの学歴で1000円を超える引上げとなった。この結果、大学院卒(技術系)の初任給額が、調査開始以降初めて23万円台を記録した。
学歴・規模別に見ると、大学院(修士)卒(技術系)では「3,000人以上」規模で初任給が最も高いが、その他の学歴では「100~299人」、「100人未満」いずれかの規模が最も高くなっている。なかでも高校卒(現業系)は、総じて規模が小さくなるにつれて初任給額が高くなる傾向となった。
初任給決定にあたって最も考慮した判断要因としては、「世間相場」(28.5%)、「在籍者とのバランスや新卒者の職務価値」(20.3%)、「人材を確保する観点から決めた」(16.1%)が上位を占めた。人手不足などを背景に、予定採用数の確保のため、他社の水準を見極めながら初任給額を決定する企業が年々増えてきていると分析している。
この調査は、新規学卒者の初任給の実態と動向を把握し、今後の初任給対策の参考とするために東京経営者協会と共同で1952年より毎年実施されている。経団連企業会員および東京経営者協会会員企業1918 社を対象に、2016年6月7日~7月1日の期間で行われ、493社が回答した(製造業 51.5%、非製造業 48.5%、従業員 500 人以上規模 78.1%)。