文部科学省は、2017年度に国立の長崎大学と埼玉医科大学など私立4校合わせて医学部定員を計18人増やす計画を明らかにした。これとは別に国家戦略特区の千葉県成田市で国際医療福祉大学の医学部新設が認められており、国内医学部の総定員は9,420人になる。
文科省によると、定員増を申請したのは、長崎大学2人、埼玉医科大学1人、順天堂大学7人、日本医科大学2人、川崎医科大学6人。
文科省は地方の医師不足を解決するため、2019年度まで一定の定員増を認める方針。私立大4校が申請した計16人分の増員は、松野博一文科相から大学設置・学校法人審議会に諮問された。長崎大学分とともに同審議会の意見を求める。
文科省は医学部の定員枠を徐々に拡大しているが、地方や一部診療科の医師不足は依然深刻なままで、医師の偏在が大きな社会問題に浮上している。2年間の臨床研修が2004年に必修化されるまで、大学病院での研修者は卒業生全体の7割を占めていたが、2016年度も42.6%と低水準にとどまっている。多くの卒業生が研修先に都会の病院を選び、大学へ戻らなくなったからで、呼び出しや緊急手術、残業を嫌う最近の若者気質も一部診療科の医師不足に拍車をかけている。
今回の定員増はそうした傾向に歯止めをかけようと計画したものだが、どこまで効果があるかは疑問とする声も医療関係者らから上がっている。