文部科学省は博士課程の学生を対象に長期間で有給のジョブ型研究インターンシップの普及を図る推進協議会を設立した。参加したのは45企業と45大学で、民間への就職機会が少なく、学生の人気が低迷する博士課程にテコ入れし、学生増と研究力アップを目指す。
文科省によると、推進協議会にはキヤノン、ソフトバンクなど主に理系人材を求める企業と東京大学、早稲田大学など国公私立大学が加わった。幹事は東京工業大学、副幹事は日立製作所が務める。事務局は大学院生や研究者に特化したキャリア支援事業を進めるアカリクに置く。
推進協議会は20日、第1回の運営委員会を開き、2021年度後期の事業の進め方を議論する。募集方法は事務局が開設しているシステムを通じて企業が求める人材を示し、学生が応募する形で、募集枠などは今後の運営委員会で詰める。年末から年明けをめどにインターンシップ先を決め、インターンを始める。
修士課程から博士課程への進学率は2020年度で9.4%。2000年度の16.7%からほぼ半減した。民間への就職機会が少ないだけでなく、研究職を目指しても任期が制限された不安定な身分にとどまりがちなことなどから、人気が低迷しているためだ。
しかし、博士課程が活気づかなければ、激しさを増す国際競争の中、日本の研究力低迷が続く。このため、文科省は経団連とジョブ型研究インターンシップの検討を進めていた。