日本経済団体連合会と東京経営者協会が2021年3月に卒業した新入社員の初任給を調べたところ、引き上げ幅が全学歴で前年を下回っていることが分かった。初任給を引き上げた企業は29.9%にとどまり、前年から12.7ポイントも低下している。
調査は6~8月、経団連企業会員と東京経営者協会会員企業の合計2,059社を対象に実施、うち473社から回答を得て集計した。
それによると、初任給を引き上げた企業は29.9%で、前年の42.6%から大きく低下し、3年連続で減少している。リーマンショックの影響が消え、景気が緩やかな回復基調に入った2014年以降、40%以上の企業が初任給を引き上げてきたが、景気後退の影響が数字に表れている。
学歴別の初任給は大学院卒事務系23万7,190円、同技術系23万8,219円、大学卒事務系21万9,402円、同技術系22万438円、高専卒技術系19万5,346円、短大卒事務系18万4,606円、同技術系18万6,852円、高校卒事務系17万3,354円、同技術系17万5,191円、同現業系17万3,282円。
学歴別の引き上げ額は大学卒技術系の1,117円が最も高く、高校卒技術系の1,106円、短大卒技術系の1,074円と続いた。しかし、引き上げ率は0.34~0.64%の範囲内にとどまる低水準となっている。
初任給決定の理由では、人材確保や賃金交渉の結果を挙げる声が2年続けて減少する一方、企業業績を勘案したとする声が倍増した。景気後退で企業側に初任給を抑えようとする意向があることがうかがえる。