文部科学省の有識者会議が私学理事会の権限を縮小し、評議員会の権限強化を求める提言をまとめたことについて、日本私立大学連盟と日本私立短期大学協会は提言に反対する声明を発表した。私大側の猛烈な反発で提言がどこまで実際の制度改革に反映されるかは、予断を許さない状況が続いている。
私大連によると、声明は学校法人に公正さと透明性の高いガバナンスが求められているとしながらも、学校法人の基本構造を変える重要な議論が大学設置・学校法人審議会での議論や教育現場の声の反映がないまま、拙速に進められたことを残念と指摘した。さらに、高等教育の大学から中等教育の中学、高校、初等教育の小学校、幼児教育の幼稚園までを一律の制度下に置くのは非合理的とした。
評議員会の権限強化については、学外評議員で構成する組織を株式会社の株主総会と同一視する点が合理性を欠くとし、学生と日ごろ接していない学外評議員に教育や研究に関する責任が取れないと問題視している。
これに代わる方策としては、理事会、評議員会のいずれが暴走してもそれを止められる仕組みの構築が必要とし、理事会と評議員会がそれぞれを監視するとともに、学外の監事が理事会、評議員会の双方にアドバイスするべきだと主張した。
文科省有識者会議の提言は、学内の人材も参加している評議員会の構成を学外だけにしたうえで、理事の選任や解任、予算、決算、合併、解散など重要な決定をできるよう私立学校法と関連省令を改正する必要があるとしている。