株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースは、2023年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生を対象に「就職先人気企業ランキング調査」を実施。今回、就職・採用戦線プレシーズンの2021年夏(23卒就活前半戦)ランキングを公表した。

 「大学生が選んだ就職先人気企業ランキング」は1978年の調査開始以来45年度目。ダイヤモンド就活ナビ2023に会員登録している就職活動中の大学3年生と大学院1年生を対象に、2021年5月20日から11月4日まで実施した。有効回答は3334名(文系:国公立大学90大学 私立大学24大学、国公立大学93大学 私立大学20大学)。

 コロナにより経済・雇用情勢が不安定になる中で、今上期最高益を更新した総合商社やメガ損保、コロナ禍で加速するDX投資の拡大を背景に業績が好調なIT・情報系大手はじめ、業績を伸ばした大手企業に人気が集中し、文理男女ともに学生の安定志向が目立つ結果となった。

 文系男子は3年連続で伊藤忠商事が1位。2021年3月期に創業来初となる時価総額と株価、連結純利益の総合商社「三冠」を達成した伊藤忠商事は鉄鉱石価格の上昇で金属資源が伸びるほか、企業の旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)需要を取り込んだ情報・金融事業も好調で、全事業部門で増益を確保し22年3月期も最高益を更新する見込みだ。
総合商社は資源高を追い風に、「資源バブル」以降に強化してきた非資源分野を収益基盤に最高益を更新する見込みで、三菱商事(3位)、三井物産(12位)、丸紅(13位)、住友商事(16位)、双日(17位)と人気を取り戻しつつある。

 2位の東京海上日動火災保険をはじめ、三井住友海上火災保険(4位)、損害保険ジャパン(7位)とトップ10にメガ損保3社が顔を揃え、損害保険業界の人気が目を引く。2022年3月期はメガ損保3社ともに最高益を見込むなど業績は好調だ。コロナの感染拡大や自然災害の多発化・激甚化、気候変動対策やサイバーリスクなど社会的課題が深刻化する中で、損害保険業界に対する学生の注目が高まっているようだ。

 2020年はコロナによる対面販売自粛により業績に影響を受けた生命保険業界も、保険料収入の反動に加えて企業業績回復による株式配当金、投資信託分配金などで増収となり、日本生命保険(5位)、第一生命保険(8位)の2社がトップ10に入った。

 証券業界は、コロナの戻り相場に加えて企業活動の持ち直しでM&Aが活発になり、投資銀行部門が好調な大和証券グループ(6位)がトップ10入り。一方で上半期の連結純利益総額が最高益を記録したメガバンクは三井住友銀行(18位)、三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループは20位圏外と業績は好調ながら伸び悩んだ。そのほか、NTT都市開発(9位)三井不動産(10位)と不動産デベロッパー2社がベスト10入りした。

 理系男子では、デジタル投資の拡大を背景に業績が好調なIT・情報系大手のNTTデータ(1位)、野村総合研究所(3位)、Sky(9位)とトップ10に3社ランクイン。理系女子では、明治グループ(明治・Meiji Seikaファルマ)が2年連続で1位。実際のビジネスに基づいて全国で手掛ける街づくりのリアルを体験できるインターンシッププログラムが好評のNTT都市開発(2位)をはじめ、三井不動産(3位)、大成建設(7位)、三菱地所(10位)とトップ10に不動産デベロッパー、ゼネコンが4社ランクインする躍進をみせた。

 文系女子は、女性が長く働きやすい環境や制度、活用実績を重視する傾向が強く、ダイバーシティ積極推進企業が上位に。早くからジェンダーギャップの解消に取り組む東京海上日動火災保険(1位)、新たに「女性活躍推進委員会」の立ち上げを発表した伊藤忠商事(2位)、女性限定の副支店長・副部長ポストを新設する三井住友海上火災保険(3位)と続く。

参考:【株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース】速報!!大学生が選んだ就職先人気企業ランキング 2021年【夏】(2023卒就活前半戦調査)

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。