消防法によって設置が義務付けられている寝室の住宅用火災警報器設置率が全国平均で約50%にとどまることが、東京理科大学大学院理工学研究科の水野雅之准教授らの研究グループの調査で分かった。研究グループは消防庁や日本火災報知器工業会などと情報を共有し、設置率向上に向けた施策を検討する。
東京理科大学によると、研究グループは築10年以上、40年未満で住宅用火災警報器が設置されている住宅を対象にウエブアンケートを行い、その結果をまとめた。さらに、東京消防庁管内の住宅火災の被害を住宅用火災警報器の設置状況との関係で分析した。
住宅用火災警報器は寝室への設置が消防法で義務付けられ、台所への設置が東京都、宮城県、京都府で義務付けられているほか、大阪府、愛知県、北海道など7道府県で市町村ごとに義務化もしくは推奨され、その他の県で推奨されている。しかし、設置率は寝室が約50%、条例で設置が義務付けられた台所が約70%、設置が推奨されている地域の台所が約55%にとどまった。
2018~2019年に東京消防庁管内で発生した住宅火災を分析したところ、住宅用火災警報器を設置することで初期消火に成功した割合が高くなるうえ、火災100件当たりの死者数や火災1件当たりの焼損床面積が大きく減少することが明らかになった。
研究グループは寝室や居室で住宅用火災警報器の設置率が高まることにより、住宅火災の被害をさらに減少させられるのではないかとみている。