京都教育大学、金沢大学、日本女子大学の研究グループは、シダ植物と種子植物の根が別の器官である事を示し、2017年6月6日付で、イギリスの専門誌「New Phytologist(電子版)」に発表した。
化石研究からの知見により、古くから種子植物とシダ植物の「根」は別の器官ではないかという意見があったが、両者の違いを明確に示すデータはこれまで得られてなかった。今回、同グループは、根の先端にある成長点(根端分裂組織)での分裂の動態を、シダ植物と種子植物の根で比較し、両者に明確な違いがあることを見出した。
種子植物の根の成長点には、静止中心と呼ばれる部分があり、そこでは、細胞分裂が活発に起こらない。静止中心が分裂しないため、根はいつまでも無限に伸び続ける事が可能である。つまり、静止中心は「新しくできた細胞を根の組織として使い尽くさないための倉庫」と捉えることもできる。一方、シダ植物にはこの静止中心がなく、どの細胞も同じように分裂している。それにもかかわらずシダ植物の根も無限に成長する能力を有している。このように、シダ植物と種子植物の根は異なるメカニズムで無限に成長していることが示唆され、同じように見える根でも、形成機構は全く異なることが分かった。
論文情報:【New Phytologist】 Root apical meristem diversity in extant lycophytes and implications for root origins