京都大学大学院生命科学研究科の荒木崇教授らをはじめとする共同研究グループは、植物における精子の形成が、約7億年前に陸上植物の祖先にあたる藻類でおこった新しい遺伝子(DUO1)の獲得により始まったことを明らかにした。

 動植物は精子と卵という2種類の生殖細胞による有性生殖を行うが、この生殖様式がどのような進化的な起源を持つのかはほとんどわかっていない。植物の精子は、進化の過程で大きく変化しており、コケ植物などでは動物と同様に鞭毛で運動し卵にたどり着くが、花を咲かせる植物 (被子植物)では鞭毛を失い花粉管によって受動的に卵に運ばれる。このように極端に異なる精子の形成過程が共通のしくみでおこなわれるのかについては不明であった。

 そこで、同研究チームは、京都大学発のモデル植物であるゼニゴケ、シロイヌナズナ、コマチゴケ、3種のシャジクモ、ヒメミカヅキモなどを用いた比較研究を行った。その結果、植物ではDUO1という遺伝子が精子形成において中心的な役割を果たすことがわかり、藻類やコケ植物の「鞭毛を持つ精子」と、被子植物の「動かない精子」の形成にはDUO1という共通の遺伝子が関わることを解明した。

 本成果により、作物を含む植物における生殖のしくみへの理解が深まったことにより、作物の雄側の稔性を改善したり、人為的に操作するための基盤となることが期待される。

論文情報:【Nature Communications】Transcription factor DUO1 generated by neo-functionalization is associated with evolution of sperm differentiation in plants

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大学ジャーナルオンライン編集部

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