コロナ禍で東京圏など多くの大都市圏で一時的な人口減が発生する中、大阪圏は人口が増加し、和歌山県和歌山市や兵庫県宝塚市など大阪圏周辺部の都市で2020年夏から秋にかけて人口増が記録されていたことが、大阪市立大学大学院生活科学研究科の加登遥助教、瀧澤重志教授らの調査で明らかになった。

 大阪市立大学によると、研究グループは大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の関西6府県で2017年1月から2021年9月までの毎月の人口変動を各地方自治体の住民基本台帳データを使って収集、分析した。

 その結果、和歌山市、宝塚市、兵庫県淡路市、京都府福知山市で第1回の緊急事態宣言後に当たる2020年夏から秋にかけて人口が増えていたことが分かった。これら大阪圏の周辺部に位置する4市はコロナ禍以前から積極的に移住者獲得政策を推進していた自治体で、コロナ禍を契機に移住者が加速的に増えた可能性がある。

 同じ期間中、大阪圏全体でも人口増加が見られた。大阪圏内の移住者だけでなく、大阪圏以外からの移住者も相当数いるとみられる。この人口増加は長く、高齢化を伴う減少が続いている大阪圏人口の減少スピードを抑制するほどの勢いがあった。

 研究グループは大阪圏周辺部の人口増加の原因を分析することで、これまで移住者獲得政策に力を入れてこなかった自治体も人口減少のスピードを抑え、生活サービスを維持することができるとみている。

論文情報:【Sustainability】Impact of the Urban Exodus Triggered by the COVID-19 Pandemic on the Shrinking Cities of the Osaka Metropolitan Area

大学ジャーナルオンライン編集部

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