東京大学大学院の家れい奈大学院生らは、健康食品を不健康な行動をとるための免罪符として描く、免罪符型の動画広告が視聴者の認識に与える影響を、公衆衛生の観点から世界で初めて評価した。
「免罪符型」の広告とは健康食品を不健康な行動をとるための免罪符として描くもので、健康に努めなくとも健康食品を摂取すればよいという誤った認識を視聴者にもたらす可能性がある。研究グループが、特に関心が高いとされる「脂肪」への効果を訴求する国内の健康食品の動画広告を調査したところ、「免罪符型」広告が最多(約25%)であった。
そこで、「脂肪」に関する健康食品の「免罪符型」動画広告が、視聴者の認識に与える影響評価についてインターネット調査を実施した。登録モニター788人(18~64歳、平均40歳)を、介入群または対照群にランダムに割り付けた。介入群の394名は、「免罪符型」と特定した動画広告のうち、再生回数が多い3本の動画を閲覧した。対照群の394名は、健康食品とは無関係のお茶の抽出方法に関する動画を閲覧した。
参加者に「健康食品を摂取すれば、不健康な行動をしてもよい、健康行動をしなくてよい」という認識に関する複数の質問を動画の閲覧前後に尋ね、回答を解析。その結果「免罪符型」の動画を閲覧した介入群のほうが、統計学的有意に強く「健康食品を摂取すれば、不健康な行動をしてもよい、健康行動をしなくてよい」と認識した。
「免罪符型」の広告が日常的に不健康行動を誘発すれば、不健康行動による害の方が大きくなる。研究グループは公衆衛生の観点から、健康食品の動画広告の内容を改善する重要性を指摘している。