筑波大学らの研究グループは、高性能ヒューマンカロリーメーターと統計学的手法を組み合わせ、入眠以降の時間経過および各睡眠ステージの影響を受けてエネルギー代謝量が変化していることを世界で初めて明らかにした。

 これまでの疫学研究により、睡眠不足は、代謝疾患や肥満の発症と関係していると指摘されてきた。睡眠時にどのようなエネルギー代謝が行われているかについては、複数の先行研究があるものの、代謝の測定方法の違いやサンプル数の少なさにより、一致した結果が得られていなかった。

 今回、同グループは、29名の被験者に脳波による睡眠測定および高性能ヒューマンカロリーメーターを用いた代謝測定を行った。睡眠時間や睡眠ステージなどの各要因の影響を調整して統計解析を行った結果、エネルギー消費量、炭水化物酸化量は入眠直後に急激に減少し、目覚めの直前に増加することが明らかとなった。一日のうちで最も飢餓状態にある明け方に代謝が活発になるという現象は、非常に興味深い知見だと同グループはいう。一方で、脂質酸化量は睡眠の前半で増加し、後半になるにつれて減少していた。

 このように、これまで正確に算出するのが難しいとされてきた睡眠時のエネルギー代謝の実態が世界で初めて明らかになった。今後、さらに睡眠と代謝をつなぐメカニズムが解明されれば、睡眠の調節により、肥満や糖尿病などの予防や改善が見込める可能性が期待される。

論文情報:【Metabolism】Energy metabolism differs between sleep stages and begins to increase prior to awakening

筑波大学

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