自動車、ロボットなど将来の製品開発に応用される人工知能の開発で、大手自動車メーカー・トヨタ自動車(本社・愛知県豊田市、豊田章男社長)は、米国マサチューセッツ工科大のコンピューター科学・人工知能研究所、スタンフォード大のスタンフォード人工知能研究所と連携に合意しました。トヨタは今後、5年間で合計5,000米ドルを拠出し、それぞれと連携研究センターを設立します。トヨタが研究を進める自動運転車の実用化にも弾みとなりそうです。
両連携センターでは、自動車やロボットへの応用を目指し、さまざまな環境下での物体認識、高度な状況判断、人と機械との安全な相互協調などを実現するための研究を推し進めます。研究成果は自動車、ロボットのほか、情報サービス分野でも、商品開発に活用します。
さらに、トヨタは米国国防総省の国防高等研究計画局が主催する災害救助用のロボット競技大会でプログラムマネージャーをしていたギル・ブラッド博士を招聘し、自動車やロボットの人工知能を研究します。ブラッド博士は連携研究センター設立にも関わっており、両連携研究センターで実施する研究やその活用にも助言していきます。
トヨタはこれまで、交通事故の防止や高齢化社会の進行という社会的な課題を背景に、安全を確保しながらより多くの顧客に移動の自由を提供するため、自動運転技術や高度運転支援システムの開発に取り組んできました。ロボット技術の開発分野でも、1970年代から産業用ロボット開発に努め、2000年代からはパートナーロボットや生活支援ロボットの開発に着手しています。コンピューターや人工知能は、運転支援やロボット技術をさらに発展させる可能性が大きいことから、人工知能研究で最先端を進む両大学と新たに連携研究センターを設立し、より研究を充実させることにしました。
トヨタの伊勢清貴専務役員技術開発本部長は「今回の連携では車に留まらず、お客様の暮らしをより良いものとすることを目標に研究に取り組んでいきます。これまでにない新たなテーマに挑戦し、トヨタの研究開発を大きく飛躍させたいと考えています」と意欲を見せました。