東京都議会は東京23区で大学の新増設抑制を打ち出している政府方針に反対する意見書を可決した。大学新増設抑制の立法措置や告示改正をしないよう求める内容で、尾崎大介議長名で安倍晋三首相と衆参両院議長、総務、文部科学、地方創生担当の各大臣に提出された。

 意見書は地方創生が必要な点に異存はないとしながらも、若者の東京一極集中是正を目的に政府が進める23区の大学学部、学科の新増設、定員増の抑制が大学の教育、研究体制の改革、革新を停滞させ、大学の国際競争力を低下させるだけでなく、人材が資源の国益を損なうと厳しく批判した。

 そのうえで政府方針に明確な反対の意思を表明するとともに、地方創生に当たっては東京対地方の構図を作るのではなく、東京と地方が共存共栄し、日本全体の発展に寄与する仕組みを構築するよう求めた。さらに、大学新増設抑制の立法措置や告示改正を行わないよう注文をつけている。

 政府は若者の東京一極集中が進む背景に23区内での大学集中があるとして、新増設を抑制する方針を閣議決定した。2020年度以降は新たな立法措置で新増設を規制する方針で、2018年からそれまでは暫定措置として文科省の告示を改正し、抑制する。

 政府の方針は全国知事会や地方から支持を集めているが、23区にキャンパスを置く私立大学や日本私立大学連盟は強く反発している。東京都の小池百合子知事も林芳正文科相に抑制の中止を求める要請書を提出している。

参考:【東京都議会】東京23区の大学における定員抑制等に関する意見書

大学ジャーナルオンライン編集部

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