大学の東京23区集中問題を協議している政府のまち・ひと・しごと創生本部の有識者会議は、最終報告に向けた素案をまとめた。文部科学省令の改正で私立大学の新増設は2019年度まで原則として認められていないが、これを国公立大学にも適用すると同時に、23区内の定員増を抑制する法律制定を求める内容。有識者会議は12月8日に最終報告を取りまとめる方針。

 まち・ひと・しごと創生本部によると、最終報告案は若者が東京一極集中する現状を打開する方策として、東京の大学の定員抑制、大学の地方移転促進、地方大学の振興、地方での若者雇用の創出を柱に掲げた。

 23区の大学新増設抑制では、定員増を規制する法律を制定、私立大学だけでなく、国公立大学も含めて規制強化を図る方針を示した。ただ、大学院や留学生、社会人学生は例外とし、定員増とならない学部や学科の再編は認める。抑制を続ける期間は委員間で意見が分かれたことから、今後さらに検討を続ける必要があるとしている。

 大学の地方移転では、東京圏の大学が地方にサテライトキャンパスを設置するのを支援する。地方大学の振興では、新たな交付金制度の創設を提言した。地方での若者雇用の創出では、若者の起業支援の拡大や東京に本社を置く企業のサテライトオフィス設置促進、地方での入社選考、採用の拡大、都市部の大学から地方企業に就職する際の奨学金返還支援制度展開を提案している。

参考:【まち・ひと・しごと創生本部】第13回地方大学の振興及び若者雇用等に関する有識者会議議事次第

大学ジャーナルオンライン編集部

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