内閣府による革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジの一環として、東京工業大学の中臺一博特任教授らの研究グループは、要救助者の声などを検出して、迅速な人命救助を支援できるドローンのシステムを世界で初めて開発した。

 これまでドローンを使った要救助者捜索技術は、そのほとんどが視覚に頼ったものであり、人が瓦礫の中にいて見つけにくい場合や、夜間や暗所などカメラが使えない状況では利用できず、捜索の大きな壁になっていた。

 要救助者発見には、音声情報も重要な役割を果たすが、災害現場では、周囲の騒音や機材の音があるため、助けを求める声を聞くことが難しい。また、ドローンはそれ自体がプロペラや風による騒音が大きく、地上からの救助者の声を聞くことが困難であるなどの問題があった。

 そこで、研究グループは、”ロボットの耳”のソフトウェアHARKを応用したマイクロホンアレイ技術を用い、ドローンの騒音下でも音源の検出を可能にした。また、三次元音源位置推定および地図表示技術を開発し、目に見えない音源を操作者にもわかりやすく可視化するインターフェースを構築した。さらに、全天候型マイクロホンアレイを開発し、雨天時でも救助者の捜索を可能にした。

 今後、研究チームは、実環境に近いレベルで実証実験を続けることにより、より使いやすく頑健なシステムの構築を目指すとしている。近い将来、ドローンがレスキュータスクの有望なツールとなることが期待できる。

大学ジャーナルオンライン編集部

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