岡山理科大学生物地球学部の林昭次講師、東京大学大気海洋研究所の中島保寿研究員、ドイツのボン大学のマーティン・サンダー教授らの研究グループは、ドイツの約2.05億年前の地層から「首長竜」の最古の化石を発見し、新属新種として命名した。
絶滅した「プレシオサウルス類」は、中生代に繁栄した海の爬虫類で多くの種類は長い首を持っているため「首長竜」と呼ばれている。翼状に発達した4枚のひれあしを持ち、羽ばたくように泳いでいたと考えられている。それらは、ジュラ紀(2.01億年前~1.45億年前)から白亜紀(1.45億年前~6600万年前)にかけて、海の食物網の上位に君臨していた。
これまで首長竜は、三畳紀(約2.52億年前~約2.01億年前)の末に起きた大量絶滅事件の後、ジュラ紀に現れたものと考えられてきたが、今回、同研究グループは、ドイツのボネンブルグの採石場に露出していた三畳紀の最末期の地層から新たな海洋爬虫類の骨格化石を発見し、形態学的特徴からこの化石標本は、正真正銘、最古の首長竜であると結論づけた。本発見により、ジュラ紀以降繁栄した首長竜類は三畳紀の末にはすでに存在しており、絶滅境界を生き延びたことが明らかとなった。
首長竜類が絶滅境界を生き延びた要因は定かではないが、外洋で遊泳生活を行うという生態学的特徴と、短期間で成長するという生理学的特徴のいずれか、もしくは両方が重要な要素であった可能性が考えられる。