2022年8月9日、長崎大学医学部の前身に当たる旧長崎医科大学の原爆犠牲者慰霊祭が長崎大学医学部記念講堂で営まれ、ロシアの軍事侵攻で避難してきたウクライナの学生や研究者計8人を含む約40人が追悼した。
長崎大学によると、新型コロナウイルスの感染拡大で遺族ら学外からの参列を取りやめ、医学部の教職員ら学内のメンバーで慰霊祭を営んだ。前村浩二医学部長が「国内唯一の被爆医科大学として核廃絶を目指して努力していきたい」との考えをあらためて示したあと、原爆投下時間の午前11時2分に合わせて参列者全員で黙とうをささげ、献花した。
旧長崎医科大学のキャンパスは爆心地から約500メートルの場所にあり、教職員と学生898人が犠牲になった。ウクライナからの学生らはロシア軍の攻撃で市民に多くの犠牲者が出た祖国の厳しい現状と原爆の被害を重ねながら、平和への決意を新たにしていた様子だった。
このあと、原爆後障害医療研究所の宮﨑泰司所長が「原爆の放射線の影響を学び、放射線による被害を繰り返さないこと、安全な放射線利用に向けて研究を続けることが、原爆後障害医療研究所と長崎大学の務めだ」と講話した。